認知症予防学会に参加してきました! 後編

こんにちは! 中の結構責任者の人です

大幅に遅れてしまいましたが、今回は「認知症予防学会」の参加レポートをお届けします。

【学会レポ】ちょっとずつ世の中は良くなっている ~パーソン・センタード・ケアって?~
講演の最後のパートは、看護師さんの宣誓から始まり、認知症とそのケアを巡る「歴史の振り返り」でした。これが本当に考えさせられる内容だったので、皆さんにもぜひシェアさせてください。

1)衝撃を受けた「つなぎ服」の写真

皆さんは、かつて病院や施設で認知症の方々が着ていた「つなぎ服(介護衣)」の写真を見たことがありますか?
上下が繋がっていて、自分では脱げないようになっている服です。

(※当時の様子について、こちらの記事に詳しく書かれています)
参考:「痴呆」を見つめる [第4話] つなぎ服の誕生 田邊順一(note)
https://note.com/junro/n/n877c58332b57
上記の記事は本当に良い記事なので、有料(一本数百円?)の価値ありです

病院の廊下を、つなぎ服を着て歩く高齢の女性たちの姿。
なぜ、この服だったのでしょうか?そしてなぜ、これが多くの病院で「当たり前」に採用されていたのでしょうか。

当時の背景には、深刻な人手不足や、いわゆる「管理収容」的な発想がありました。
講演は、こんなハッとする問題提起からスタートしたんです。

2)「人が生きるって、暮らすって、どういうことだろう?」

それは、自分の好きなことを選べて、自分の意思を発言できる「能動的」な状態のことではないのか?
今の時代も、人手不足を理由に「管理」に偏っていないだろうか?と。

3)認知症ケアの歴史。声を上げた先人たち
ここから、認知症ケアの歴史を少し振り返ってみましょう。

1972年:小説『恍惚の人』が大ベストセラーに
当時は「寝たきり老人」への対応が政策の中心で、ここからやっと厚生省(当時)が本腰を入れ始めました。

1973年:老人医療費無料化の導入

1980年代:老人病院の急増
当時、寝たきりや認知症の方を受け入れてくれる場所は少なく、家族にとっても「福祉施設より病院に入院させる方が世間体がいい」「自己負担も少ない」という事情がありました。

でも、そんな状況を「これでおかしい!」と思って立ち上がった人たちがいました。青梅慶友病院(1980年〜)や上川病院(1983年〜)など、「老人の専門医療を考える会」の活動です。
現場の人々が声を上げ、行動した結果として、後から国の制度が追いついてきたという熱い歴史があるんです。

「やってあげる」から「その人らしく」へ
そして時代は進みます。

1990年代:「パーソン・センタード・ケア」の登場
トム・キットウッドという学者が提唱した、「その人を中心としたケア」という考え方です。ここから、グループホームやユニットケアが広がっていきます。

あるデイサービスに通う90歳の方が、こんなことを仰ったそうです。
「ここ(デイサービス)にくると私は従業員の人たちのために『ありがとう』と言わないといけない。でも本当は、人の役に立つことをして『ありがとう』と言われたいんだよ」

初期のグループホームは「特養の小型版」になってしまっている現実もありましたが、例えば『グループホームこもれび』では、このような声に向き合い、「やって差し上げる」のではなく、「できないことを手助けする支援」へとシフトしていきました。

ここで面白い(そして考えさせられる)のが、職種による視点の違いです。

看護師:どうしても「問題解決志向」が強くなりがちで、「生活を豊かにする」という視点に及びにくいことがある。

介護職:「相手を喜ばせよう」という姿勢が第一。「その人が豊かに、その人らしく暮らすには?」を考えるプロフェッショナル。
医療と介護、両方の視点が合わさるからこそ、良いケアが生まれるんですね。

2004年:「痴呆症」から「認知症」へ名称変更
言葉が変わることで、社会の認識も少しずつ変わっていきました。

4)ちょっとずつ、世の中は良くなっている
1961年に国民皆保険が始まって60年以上。2000年に介護保険が始まって約四半世紀。
今、私たちが当たり前のように医療や介護の制度・サービスを利用できるのは、決して最初からそうだったわけではありません。

そこには、歴史の積み重ねがあり、「おかしい」と問題意識を持って行動してくれた先人たちの多大な努力があったからです。

そのおかげで、今の私たちが救われている。そして、いずれ当事者になるかもしれない未来の自分自身も救われているんだなと、深く実感した講演でした。

世の中は、先人たちのバトンによって、ちょっとずつ、でも確実に良くなっています。私たちも、そのバトンを未来へ繋いでいきたいですね!

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